20の頃とはちがう。
すべてを吐き出す前に人生は終わる。
そう考え出したのは最近ではないような気がする。
ぼくは自分を前にださない、図々しさが極端に足りない。
人を不快にすることが、自分が一番嫌う行為だからだ。
人に気遣う、気遣う、気遣う。そういう人生だ。
はたから見ればつらい人生かもしれないが、
自分としてはまんざらでもない。
そんな自分が初対面の人間にグラスの水を顔にかけられた。
意味が分からなくて少しの時間フリーズして、ゆっくりとお絞りで顔をぬぐった。
「なぜ水をかけられた?相手を不快にしたのか?取り繕うべきか?怒るべきか?」
その時はそう考えていたが、後々、襲ってきた屈辱感は今まで感じたレベルではなかった。
知らないやつに水かけられて何、冷静に考え込んでんだ!
意味が分からないのは自分の頭だ。相手にここまでコケにされて冷静を装って何になる!そんなやつは殺してしまえ!!殺してしまえ!!
長年の気遣い人生で純粋な怒りに時間がかかるようになってしまった。素直にまっすぐに行きたいと考えていた人生が、自分にまで嘘がつけるようになってしまった。
ここに来て理想の人間像に疑問を抱いてしまった、反吐がでる。